Tsunamayo Blog

30歳から始めるド根性奮闘ブログ

失うということ

「いややーーー!!!!」

 

姪っ子の泣き叫ぶ声が外から聞こえた。

 

その声で目を覚ます。

朝の10時だった。

 

爆睡していて気づかなかっが、

 

「そうか、今日帰る日やったな…」

 

と思い出す。

 

ブロロロロと車のエンジン音が鳴る。

弟が姪っ子を車に乗せて出て行ったようだ。

 

昨日の楽しかったことを思い出して、気分が少しほっこりした。

 

「帰っちゃったな~」

 

姪っ子がいなくなったら、一遍に静かになった部屋を見渡す。

 

「いたらいたで大変だけど、いなくなったら、やっぱりちょっと寂しいな…」

 

寂しさに囚われてばかりいられないので、

姪っ子がいなくなり、自分もやりたい作業を開始する。

 

作業をしていたら、直ぐに時間はたっていた。

外を見ると日はもう沈んでいた。

 

母が仕事から帰ってきて、

カレーの作り方を教えて貰うことになった。

 

カレーを作っている途中で母が、

 

「再来週で姪っ子ちゃんと会うのは最後になるな~」

 

と言った。

 

「そうだ。もう再来週で最後なんだ…」

 

そんな思いが悲しみを呼び覚ます。

 

 

弟の離婚が8月末に成立する。

親権は奥さんが持つようだった。

離婚が成立すれば、父親の弟は会えるだろうが、叔父の自分は関係ない人になる。

全くと言うわけではないかもしれないが、疎遠になるのは間違いない。

 

なので、最後は姪っ子の誕生日祝いもかねて、

僕ら家族でパーティーをしようと企画していた。

その日が8月31日。

その日が最後であることをすっかり忘れてしまっていた。

「最後」と言う言葉が、自分の心を重くする。

 

「そうかーもう最後か~…」

 

そう母に答えながら、思い出が浮かんでくる。

 

最初は「子育てなんてまだ俺には無理やで~」と思っていた。

 

でも姪っ子と触れ合っていくうちに、

 

「子供ができたらこんな感じなのかな?」

 

とか、

 

「え!?子供ってめっちゃおもろいやん!!」

 

とか、

 

今まで想像できなかったことを色々経験させてくれた。

最初は立ち上がることもできなかったのに、

いまではドタバタと走り回れるようになった。

ほんとお転婆娘だ。

そんな姪っ子の成長を目の当たりにしていく中で、

子供に対する意識がどんどん変わって行ったことを今でも覚えている。

 

「もっとこんな遊びとか、いろいろしたかったなー」

 

そんな思いとともに、悲しい気持ちが増々強くなっていく。

 

作り終えたカレーは美味しくできていて、嬉しかったが、

「姪っ子と会えるのが最後なんだ」という言葉が頭の中をグルグル回っていた。

 

カレーを食べた後、部屋で1人こもって考えていた。

 

 

「やっと仲良くなれたのにな…」

 

 

失望感が自分の心を支配していく。

 

最初は弟や母がいないと僕と2人きりで、部屋にも居れなかったのに、

今では自分1人で僕の部屋へ飛び込んできてくれるくらい、仲良くなれた。

それなのに…

 

「また失うのか…」

 

 

そんな思いがさらに胸を詰まらせる。

 

また誰かを失うのか?

もう誰かを失いたくない。

もう沢山だ。

 

失うことに自分は慣れていないだけなのか?

いや、慣れていようが失うことは辛いはずだ。

 

「失うこと」について考えていると、

 

「そや…弟の方が、もっと辛いはずや。」

 

自分の娘に毎日会えなくなるんだ。

その失望感は計り知れないだろう。

離婚自体もパワーのいることだし、心身ともに疲れているはずだ。

 

「俺なんて、まだまだやろうな…もっと強くならないと…」

 

そう思うと共に、

 

「失ってばっかりじゃないやろ?」

 

「得てるものもあるって、気づいたやん。」

 

と、自分に訴えかける。

 

自分は、失望したときこそ過去を悔やんでしまう。

 

小さい頃を思い出す。

あの頃はなんでも新鮮に思えた。

新しい遊びや新しい知識、目に見えることすべてが初めてだったから。

大きくなってからはそういう機会が減っていき、

「あの頃はよかった」となって悔やむ。

 

 

でも、そうなるのはなぜだ?

初めての経験が減ったからか?

同じ毎日の繰り返しだからか?

 

いや、違うはずだ。

 

大人になるにつれ、自分の視界がどんどん狭くなってしまっているだけだ。

 

同じ毎日なんて、絶対無いはずだ。

 

最近、空を見上げることが多くなって、思う。

 

毎日空は違っている。

 

気温や風も毎日同じじゃない。

 

だから、同じ空なんて絶対ない。

 

なにより、「人の気持ち」が毎日同じなんてありえない!

 

似たような気持ちはあるかもしれないが、

絶対何か違うはずだ。

 

「今日は嫌なことがあったな…」

 

「今日は良いことがあった!!」

 

そういういろんな気持ちを積み重ねて、

人の気持ちはどんどん変化していっているはずだ。

それは絶対、小さな頃よりも何倍も強く大きな心になっているはずだ!

 

小さな頃にみた、あの新鮮さを、その時に覚えたまま、

ただ漠然と毎日を過ごし過ぎて、忘れてしまっているだけだ。

 

そうなってしまったのは紛れもなく、自分自身のせいだ。

 

自分の過ちに気づき、思い直す。

 

小さい頃には見えなかったものが、

今だからこそ見える景色が、

あるはずなんだ。

 

 

そうだ。

失うことを恐れてはいけない。

失った時、必ず何かを得ているんだ。

 

そう言い聞かすことで、気持ちが少し楽になるし、

こう書き記すことで、明日も頑張ろうと思える。

 

だから、姪っ子と会う最後の日は、

いっぱいいっぱい遊ぼう。

 

最後と言うことを忘れるくらいに、

いっぱいいっぱい遊ぼう。