Tsunamayo Blog

30歳から始めるド根性奮闘ブログ

ちっぽけな勇気

朝を迎える。

重い瞼を開ける。

 

「結局、寝れなかったな…」

 

安定しつつあった気持ちが、昨日で一気に崩れてしまった。

 

彼女と別れてから、

 

「自分は少しずつでも前進できている。」

 

「大丈夫だ。」

 

そう思っていた。

 

今、その気持ちは何処にも存在しない。

 

また振り出しに戻った。

そんな気持ちで体を起こそうとするが、重い…

雨音が聞こえ出していた。

外では雨が降り始めているのだろう。

その音が増々自分の体を重くする。

 

「今日は学校いけそうにないかな…」

 

そんな気持ちが頭を過る。

 

 

「でも…」

 

先週のお盆のときに自分が考え付いたことを思い出す。

 

「自分がやらなそうなこと、やってみよう」

 

そうだ。

自分を変えたくて変えたくて、

変えたくてたまらなくて、

思いついたんじゃないか。

 

いつもの俺なら、ここで学校を休んでるはずだ。

だからこそ、学校に行こう。

もしだめだったときは、早退したらいい。

とにかく、行くだけ、行こう。

 

気合を入れて、重くなった体を起こす。

 

「よし……!!」

 

いつもの起床時間より少し遅れてしまったので、

身支度を急いで済ます。

 

「いってきます。」

 

そう言ってドアを開けると、どしゃ降りの雨だった。

 

「げぇー…」

 

自分を家に押し戻そうと雨が激しく抵抗しているように見えた。

 

「…行くって決めたんだ!いくぞ!!」

 

決意を固めて、水溜りだらけの道へ一歩踏み出す。

 

足先はすぐに雨にやられてずぶ濡れになった。

 

それでも足は止めない。

止めたくない。

 

やっとの思いで駅にたどり着く。

 

一息つき本を取り出す。

読み始めた瞬間、一つの言葉が自分の目に飛び込んでくる。

 

「人生に意味などない」

 

「異邦人」などの作品で知られるフランスの作家カミュが残した言葉。

 

それは今の自分に向けての言葉のように思えた。

 

「人生に意味なんてないのか…」

 

人生には意味があると思って信じてきた自分には真反対の考え方だった。

今の自分の状態じゃなければ気にも留めなかったかもしれない言葉。

それは今の自分の気持ちを少し気楽にさせてはくれたが、

悲しくも感じた。

 

そのまま本を読み進めていくと、

 

「人生に意味を見出そうとしても、世界はそれに応えない。」

 

そう書かれていた。

 

 

 

ズシッと心の中が重くなった。

自分のことを言われている。

そんな気がしてならなかった。

 

必死に自分の人生の意味を探し求めていた。

彼女との別れにも、意味があると。

でも、世界がそれに応えてくれなかったら?

この別れには意味がなくなるのか?

じゃあ何で俺はこの苦しみに頑張って耐えているんだ?

考えれば考えるほど、わけが分からなくなる。

 

でも考えてみれば、

一生辛い思いをせずに死んでいく人も、世の中にはいるわけで。

それはそれで幸せなのかもしれない…

辛い思いを経験してない分、そういう気持ちに対しては鈍感になってしまうが、

死んでしまえば結局は一緒だ…

 

そんなことを考えながら、電車に乗り、職業訓練校へ向かう。

いつもの朝に比べて、沢山考え事をしていたからか、

職業訓練校に到着したときにはかなり疲れていた。

 

授業開始のチャイムが鳴る。

気持ちを切り替えへ、ノートを鞄から取り出す。

睡眠時間が足りていなく、うつらうつらとなりながらも、

何とか午前の授業を終え、昼飯を食べに学校を出る。

 

「今日はあんまり食欲ないな…ミニ牛丼にしとくか…」

 

昨日の気持ちをまだ引きずりながら、

今日のメニューを決め、いつものすき家へ。

 

ミニ牛丼の値段は290円なのだが、

そこから、すきパスで割り引いてもらうと、220円に。

 

「安いな…こんな安いなら、これからミニ牛丼でもええかな…」

 

あまりの安さに驚愕しながら、昼飯を完食。

いつもの食べる並よりも量が少なかった為、昼飯にかかる時間がかなり短縮できた。

 

「いつもよりも早めに学校へ戻れそうやな…戻ったらゆっくりするか…」

 

昨日寝てないことを思い出し、休憩時間を出来るだけ多く取るため、

足早に学校へ戻る。

 

学校に戻り、教室の扉を開け、自分の席に座ると、

クラスで一番若い子が

 

「この前、言い忘れてたことがあって…」

 

そういいながら話しかけてきた。

 

先週、「1人暮らしする際のアドバイス」をクラスのみんなに聞きに回っていたのだが、

どうやらそれについての話だった。

 

内容は

「プロパンガスを取り扱ってる部屋より、都市ガスを取り扱っている部屋の方が、ガス代がかなり安くなるから、都市ガスの方がいい」とのこと。

 

その子は不動産についての知識もかなり詳しく、丁寧に教えてくれた。

とてもありがたかったし、気にかけてくれていたことが、本当に嬉しかった。

 

午後の授業開始のチャイムが鳴ったので、

その子にお礼を言い、自分の席へ戻る。

 

午後の授業を受けながら、

 

 

「やっぱ今日、頑張って学校来て良かったな…」

 

 

と心から思った。

 

 

 

午後の授業を終え、家に帰ってる途中も、人生の意味について考えていた。

その中で、自分の中で一つの結論が出た。

 

「自分が生まれたこと自体」に意味などない。

だからこそ、「自分でその意味を探す」ことに意味がある。

 

それが自分の今の出せる答えだ。

 

自分でその意味を探すために、もがいて苦しんで悲しんで、それがいつか自分の生きた証に繋がっていく…

そんな気がした。

 

そんなことを考えながら、家に向かって歩いていると、

朝よりも気持ちが幾分落ち着いていた。

 

まだ昨日の気持ちを完全に拭えてはいない。

でも、自分が行動を起こしたことが確実に良い方向へ繋がっていると実感したことや、

自分が進んでいきたい人生のビジョンが少し見えたことが、

今の自分に少し勇気を与えてくれた。

 

ほんのちっぽけな勇気だ。

 

でもそのちっぽけな勇気が、

時間をかけて少しずつ何かを変えていくはずだ。

 

そのことに気づけた一日だった。