再確認の大切さ
今日も朝の目覚めは悪かった。
彼女と別れる夢を見ていたから、そりゃそうか…。
夢にまで出てくると、自分の心が相当病んでいることを思い知らされる。
「あぁ…疲れたな…」
そんな言葉が朝から出てしまう。
体が動かずそのままボーとしてしまい、
身支度の時間がドンドン減っていく。
結局、
「はっ!!!」
と気づき、急いで身支度を済まし玄関のドアを開ける。
「最近こんな感じやな~…まだお盆前の方が頑張れてたくないか?」
最寄りの駅に向かいながら、そんなことを思った。
確実に、ここ最近、別れた悲しさがぶり返している。
その理由は、
自分が彼女を失ったことをまだ認め切れていないからだ。
「もしかしたら急に、彼女から連絡が入るかもしれない。」
「いつか寄りを戻せるかもしれない。」
スマホを開けるときは必ず一瞬そんな気持ちが過る。
来るはずもない連絡に、期待してしまっている。
最寄駅に到着し電車に乗り込む。
行きの電車の中で、
もう一人の自分が言う。
「その期待、意味なくないか?」
全くその通りだ。
勝手に自分が期待し、
勝手に自分が悲しがっているだけだ。
「これは、疲れるの当然だろうなぁ…」
そう思った。
学校に到着し、授業が始まる。
最近は授業中に行きが詰まりそうになる瞬間がある。
そんな時は息を大きく吸い込んで、小さく吐き、心を落ち着かす。
そうやってだましだまし、授業を乗り越える。
お盆明けが終わったのもあるだろうが、
身体がしんどい…
職業訓練校にいる間も、
心に鉛を抱えているみたいで、重い…
早く取っ払ってしまいたいのに、
ふと彼女のことを思い出すと、思い出が蘇り、
それでまた悲しくなり、重みが増す。
午前の授業が終わり、いつものすき家で昼飯を食べながら考える。
「この痛みを受け入れていかないと変われない。」と言う気持ちが、働いてくれてることは良いことだと思う。
ただ、こんな毎日を続けていたら、疲れてしまって、
自分の人生が良い方向へ迎えてない気がしてならない。
「まずはどうにかして、心を軽くしたいな…」
自分は今までここまでの失恋を経験したことがなかった。
なので乗り越える方法など全く知らない。
「帰りの電車でちょっと、色々検索してみるか…」
とりあえず身近なインターネット先生から助言を貰おうと思った。
午後の授業も終え、職業訓練校を出て、帰りの電車に乗り込む。
スマホを取り出し、「失恋 乗り越え方」と検索をかける。
「まさか自分がこんなことを検索するなんて…」
少し笑ってしまった。
「今まで感じられなかったこと…感じれるようになってきてるのかな…」
自分にとってそれは単純に嬉しいことだった。
だって、こうやって失う悲しさを知らなかったから、こうなってしまったのだから。
検索していると、いっぱい失恋の乗り越え方について書いてある記事が出てくる。
一つ一つ、サイトを見ていく…
失恋の乗り越え方のサイトをちょっと参考にしよう程度だったのだが、
かなり、熟読してしまっていた。
そのサイトの一つに、自分の考えと全く同じものが書かれていたものがあり、
目を引かれた。
「失恋を乗り越えられない理由は、どこかで相手に期待してしまっているから。」
そう書かれていた。
まさに自分だと思った。
「ドンピシャやん…」
続けて読んでいくと、
「心で納得していくことが、失恋から立ち直るためには最も必要なこと」
「相手のことを過去の人に変えていく」
ふむふむ…
自分はまだまだ、心で納得できておらず、相手のこともまだ好きなままだ。
まさにこの部分を変えていかなければ、この悲しさからは逃れられないのだろう。
そしてサイトにはこうも書かれていた。
「別れるべくして別れたと言えます。」
この考えは良く思い浮かんでいた。
自分でもほんとそう思うし、友達にも言われた。
この別れの辛さを知らないまま結婚していたら、多分、離婚していただろう。
さらに記事を読み進めていくと、
「切れる縁は最初から、縁が無かった。その縁にすがるということは、この後の良縁を自ら断ち切ってしまうことになりかねない。」
おおおお…
なんて良いことが書いてあるんだ…
目から鱗だ…
今の自分ならどこぞの知らぬ宗教の勧誘を断り切れないかもしれない…
…とまぁそれは冗談で、
自分は宗教にすがるつもりは毛頭ないが、
すがりたいと思う人の気持ちも、わからんではないかなぁと思った。
本当にこの言葉にはめちゃくちゃ共感した。
「別れるべくして別れた」
これが真実なんだ。
あのまま、一緒に居てもお互いに幸せにはなれなかっただろう。
彼女を幸せにしてあげることは出来なかっただろう。
自分がまだまだ未熟だったから。
この辛さを知らなかったから。
まさか、失恋サイトでこんなに元気をもらえるとは思わなかった。
「調べて見るものだな…」
と心底感動した。
駅に到着し電車を降り、家の方へ歩き出す。
歩きながら、考えをまとめていく。
自分は、気づいていない所で、彼女の影をずっと追い求めてしまっていた。
だから、そんな彼女に対しての気持ちを、
ちょっとずつ過去の人へ変えていかないといけないということがわかった。
いや、既にわかっていたんだ。
いつの間にか、そのことを隠してしまっていた。
でも今「やっぱりそうなんだ。」って、また思い出せた。
ここから、またしっかり自分の意識を強く持っていきたい。
そして、「別れるべくして別れた」ことも、再確認出来た。
こうやっていろいろ模索しながら、
どうしたら乗り越えられるのかを、今後もしっかり考えていきたい。
こうやって失恋の乗り越え方を考えていくことも、
きっと自分には必要なことだったんだ。
「知らないことがまだまだあるな~!」
帰り道、いつの間にか、顔を上げて歩けていた。